同級生

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学年で言うと今年が節目の年齢なためか、夏に高校の同窓会がある。関東在住の有志による小規模なもの。たまたま幹事に近い人が知り合いで、奈良在住の私にも声がかかった。

参加すると伝えたら、グループLINEに追加された。でも、任意の表示名や結婚後の姓などで登録されていて、参加者の全貌がよくわからない。ようやく最近、当時のクラスと名前での参加者名簿ができて、誰が出席するのか把握できた。知らない人、名前は覚えているけど関係性が薄い人の中に、名前を見ただけで高校時代の顔が浮かぶような懐かしい人がいる、という感じ。

新潟に帰省するたび高校時代の友人と食事に行ったりもしていたけれど、その中の1人も亡くなってしまった。それを思うと、この年まで各自いろんな時間を過ごし、生き抜いて、そして何十年めかのある日に一ヶ所に集まって会話をするっていうのは、同窓会なんだから当たり前だけど、感慨深いイベントであることは間違いない。

当日は「1分間で」近況報告をしてくださいといわれている。この年月を1分間でまとめるとかどうしたらいいんだろうと思うし、その何十年が詰め込まれたそれぞれの1分が、参加する50名分語られるってのはかなり濃密だ。受け止め切れるだろうか。


話は変わるが、6年くらい前、高校時代の友人が京都旅行にきて、久しぶりに会った。彼女は顔が広く、いろんな同級生の情報を持っている。話が出尽くしたかという頃、彼女が意外な名前をあげた。

「○○君覚えてる?」

覚えてる。同じクラスだったことがあるから。

「あの子、今、芸能事務所の社長らしいよ」

芸能事務所?

正直驚いた。教えてもらった事務所は私も名前を知っているような大手だった。でも、その彼と、私が抱いていたその事務所のイメージが全然結びつかない。

半信半疑のまま家に帰ってから検索してみると、確かに社長の名前は漢字が旧字体だが同じだ。写真も色々ネットに出回っている。だがどれを見てもどうしても本人に思えない。顔はまあ、同一人物と言っても矛盾はない。でも私の知っている高校時代の彼はネットで見かけるようなヤンチャな感じではなく、もっと普通の寡黙な、関西でいうところのシュッとした男子なのだ。この手のヤンチャなファッションが好きそうな気配すら一切なかった。彼と会話をした記憶はないが、カッコいい、と言ってた女子はいたと思う。ただ私自身はかっこいい人に関するセンサーが弱すぎて、そう言われるまで気づかなかったが。

高校を卒業してからは、会ったことはない。でもかなり昔一度、雑誌に載っているのを見たことがある。ある雑誌のタレントコンテストの最終20人として小さく掲載されていた。誤植だったのか、そこに書かれていた彼の年齢は、私より3歳若かった。田舎の高校でかっこいいと言われていても、芸能の仕事に就くのは厳しいのだろうなあ、などとその小さい写真を見ながら思ったし、写真はまだ、私が知っている彼ではあった。私はその雑誌を何故か、買った。

それが、私の彼の最後の記憶だ。
きっといろんな苦労をして今があるんだろうな、シンプルにすごいなあ、と思う。到底私には成し遂げられないことだ。ただ、私の脳内にいる田舎の高校生である彼は永遠に更新されないので、ネットの無責任な黒い噂を目にしたり、呑気に見ていた配信で急に名前が出てきたり、所属しているタレントのゴタゴタでファンに「クソ事務所」と言われてたりすると、ヒッ、となる。何も関係ないのに私。

今回の同窓会に名前がなくて残念なような、ほっとしたような。でも1分でその人生をどうまとめるか、聞いてみたかったような気もする。