繁殖している

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 右足の裏にこれができていることに気がついたのは何年前だっただろうか。最初はほんのちいさな「何か」だったが、気がつくとしっかりしたものになっていた。その頃は、靴の中敷のかかと部分の同位置に、ヒールをうちつけた釘のようなものの跡があって、この窪みが刺激になってできたものだと思っていた。
 靴を変えたけれど私の足のその小さなものは消えるわけではなく、ずっとそこにあり続けた。ふとある時、それは二つになった。私は皮膚科へ行った。女医さんに見せると、「まあかわいい魚の目ですね。削るしかないですね」と、言った。私はそれをかみそりで削ってみた。でも、削ったときは一瞬姿を消すのに、また気がつくと再生しているのだった。
 そして、いつしか、二つ目のものに寄り添うように、もう一つ増えて三つになっていた。別の皮膚科へ行ってみた。そこではそれらが何かは告げず、じゅーっと焼いてくれた。一瞬ちくっとする程度の痛み。何回も通ったけれど、何の変化も起らなかった。
 去年の夏、手に湿疹が出た時行った皮膚科でも見てもらった。その時、「イボです。これはなかなか直らないですよ」と言われ、同じように液体窒素で焼いてくれた。水ぶくれになるかも、と言われたけれどならず、その後も全く変化が無かった。やっぱりなにも変わらない。落胆し、次に行くのを先送りにしていたが、心のどこかではずっと引っかかっていた。
 今日、久しぶりにそこへ行ってみると、「水ぶくれになりましたか?」と医者に聞かれた。「いいえ」と答えると、「じゃあ、もっと強く焼きます」と、言われた。そして受けた過去のどんな治療よりも長く痛い「焼き」。効くかもしれないという漢方と、塗り薬も処方してくれた。次回は1ヵ月後に来てくださいということだった。
 午後から仕事をしていても、座っていて床についていないにもかかわらず、踵に痛みが走る。もちろん、右の踵をついて歩くことができない。家に帰って靴下を脱いで見てみると、すごく大きな水ぶくれが二つできていた。今までの治療の中でこの段階へ来たのは初めてだ。私の足裏でゆっくりと繁殖するイボ。少しはダメージを受けてくれているんだろうか。
 それにしてもこの痛み。はんぱねえ。